top of page
検索
  • masa-en

百貨店・デパート興亡史


2021年10月27日(水)

老舗百貨店と言われる企業の多くは、古くは江戸時代からの呉服屋が、そのルーツ(起源)となっています。

(三越や伊勢丹、大丸や松坂屋等が、その代表例です。)

業界初の試みとして、三越(前身は三井呉服店)が、1905年(明治38年)に「デパートメント宣言」を発表し、百貨店(デパート)への業態変更を世間にアピールしました。

その後、各百貨店では近代化を進め、更には、消費の隆盛とともに業容を拡大していきますが、そうした歴史や現在の状況分析、将来の展望についてまとめたのが、この本です。

著者は、ビジネス誌記者の梅咲恵司さんです。

出版元は、イースト・プレスです。

多岐に亘る内容で、しかも広範囲なテーマですが、これに対し、著者はがっちりと向き合い、実に詳細に、しかもわかりやすく、一冊の本にまとめてくれています。

とても内容が充実していて、価値のある本だと確信します。

さすが、ベテランのビジネス誌記者さんらしく、業界へのアンテナの張り方や、個々の事象に対する分析力はすごいなと感心しました。

(梅咲さんは、現在、「週刊東洋経済」の副編集長をされているそうです。)

流通業を深く知る為には、最も適した本であることは間違いありません。

しかし、個人的には、この本を読み、百貨店は本当に「ものを売ってきたのか?」と言う自戒の念に襲われました。

もしかすると、「売ってきた」ではなく、「売れていた」「売ってもらっていた」のではないかと考えたのです。

これは、私自身が、長年に亘りこの業界で働いてきた上での、率直な感想でもあるのでしょう。

百貨店やデパートと呼ばれる業態は、文字通り、流通業・小売業の「リーダー」「牽引役」としての役割を担ってきたかのように受け取られがちです。

でも、実態はどうでしょう。

大きな建物や、快適な環境を生み出すことはできても、そこの陳列棚には、魅力ある商品を充分に並べられていたのでしょうか?

確かに、大がかりな仕掛けやイベントを開催し、注目を集めることに、多額の資金も含め、全力を傾注してきましたが、品揃えについては、取引先に任せっぱなしの部分が多かったように思います。

また、本当に、販売員1人1人が、ハートフルな接客を行い、1点1点の売上を積み重ねていたでしょうか?

もしかすると、自動販売機に毛の生えたような接客しかできていなかったケースも多かったようにも思えます。

「お客様の声を聞く」と言うことが、百貨店にとっては一番大事なことだと思います。

そんな中、外光を取り入れた素敵な売場空間や大がかりな装置を、どのお客さまが、百貨店に対し望んだのでしょう。

そのような証拠は残っていません。

しかし、結果として、都心型の百貨店の多くでは、ピカピカの床や、凝ったデザインが特徴の建物(店舗)が造られ、リニューアルと称して、内装の快適さも追求・具現化されてきました。

更には、過剰なサービスを、上から目線で押しつけていた部分もあったかもしれません。

また、「顧客第一主義」と言うスローガンは、どこの百貨店・デパートでも耳にしますが、仕事の仕方や進め方そのものが、本当に「顧客第一」で組み立てられているかと言えば、そうではありませんでした。

どうしても会計上の処理が優先されたり、店側にとって便利で効率的なルールの方が採用されたりで、結局の所、叫べば叫ぶほど、有名無実化されてしまうのが「顧客第一主義」でした。

こういうことをやっていては、衰退化していくのは自明の理なのかなと思ったりもします。

時代に合わなくなった百貨店は、もはや、素敵な歌を歌わないカナリヤと同じです。

陳腐化する一方なのです。

いろんな意味で考えさせられる、とても濃い内容の本だと思いました。

    遠藤雅信

閲覧数:6回0件のコメント

Comments


bottom of page