
2021年11月9日(火)
この1冊も、長期入院中に病院で読みました。
やることがなく閑だったので、病院ではいろいろ本を読むことができました。
(入院患者の休憩室には、貸し出し用の本棚が設置されてあり、実に便利でした。)
「百貨の魔法」の舞台は、地方の老舗百貨店です。
そこで、ファンタジー(夢物語)のようなストーリーが展開されます。
百貨店の実情(内情)は、経験上よく理解しているので、「なるほど」と頷きながら読む部分が多かったです。
きっと、作者は百貨店(デパート)のことを熟知しているか、よほど綿密な取材をしたのだろうと感じました。
作者は、村山早紀さんと言う女性の作家さんです。
この作品は、2017年(平成29年)に書かれ、ポプラ社から発行されました。
ストーリーの詳細は割愛しますが、とても心温まる印象を覚えました。
都心型の百貨店と違い、特に地方の百貨店では、リピーターやヘビーユーザーが多く、客と店員との関係(つながり)が、より深くなると言う特徴があります。
よく、「一期一会」と言いますが、まさに人と人との結びつき(出会い)が、いかに重要かを改めて考えさせられました。
さりげない接客であっても、それが何年後、何十年後かに、新たなつながり(展開)に結びつくことは、よくあることだと思います。
接客こそが、コンビニやネット通販ではかなわない、百貨店ならではの強味と言えると確信します。
また、百貨店はヒューマンな産業なので、効率一辺倒で処理していくのは、問題ありだとも感じました。
地方百貨店には、地方なりの特性があるのだと思います。
お店毎に持つ、雰囲気のようなものもあります。
とても爽やかな読後感で、価値の高い作品だと改めて思いました。
遠藤雅信
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