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バラ色の未来


2021年11月2日(火) 真山仁(じん)さんと言えば、今、最も売れている社会派の作家です。

代表作には、何度もTVドラマや映画でシリーズ化されている「ハゲタカ」や、中国における世界最大規模の原子力発電所での大がかりな事故を描いた「ベイジン」等が挙げられます。

どちらも、綿密な取材や資料分析に基づいた、リアリティ充分の超大作であり、歴史に残る傑作と言えるでしょう。

真山さんの作品に触れると、時代を的確に捉えた、先見性のあるテーマ設定と、その裏付けとなる知識の豊富さに、いつも驚かされます。

まさに、「知的」な部分と、大がかりな娯楽性こそが、真山さんの作品の最大の特徴だと思います。

真山仁さんは、1962年(昭和37年)、大阪で生まれました。

私とは、ほぼ年齢も近い同世代です。 (私の方が、5歳ほど年長です。)

子供の頃から、社会問題に関心を持ち、世の中を変える為に、職業としての小説家を選んだそうです。

彼が作品に注ぐ情熱の一部は、ここに原点があるのでしょう。

私自身は、彼のファンを自負していて、「ハゲタカ」や「ベイジン」も含め、多くの作品を読んできているのですが、今回は、「バラ色の未来」を取り上げたいと思います。

この小説は、通称「カジノ」と呼ばれる、IRをテーマとして取り挙げています。

特区を造り、IR施設を招聘することにより、その自治体には莫大な税金収入や利権が流入し、周辺産業の活性化効果も見込めます。

国は、IRのいい面だけを誇張していますが、実は、その裏では負の影響も大きいと言えます。

犯罪の増加等、いろいろな影響がありますが、最も社会的に大きいのが、所謂、「ギャンブル依存症」患者のまん延でしょう。

人は弱いもので、一度、ギャンブルの味を知ってしまうと、普通の生活に戻れなくなってしまうケースが多く発生するそうです。 所謂、成功体験のようなものが、あぶく銭を簡単につかめると思い込ませてしまい、地道に働くのが馬鹿馬鹿しくなってしまいます。 「カジノ」の運営者側も、そうしたことを百も承知で、初心者にはビギナーズラックとか言って、わざと儲けさせたりします。 「ギャンブル依存症」により、働く意欲を失った人間の行く末は、自己破産や自殺、犯罪等へとゴールが決まっています。 まさに、治らぬ病気なのです。

作品の中では、IRを続けたい企業や自治体がタッグを組み、専用の病院を造り、そうした人間を精神病患者として、社会から隔離する政策をとります。

勿論、その病院の建設費や運営費は、カジノによって上がる、莫大な収益の一部が使われます。

このような流れにより、健全だった街や市が、どんどん不浄な地域になってしまいます。

でも、外見は、実にスッキリしていて、問題なく見えるのです。

「バラ色の未来」では、こうしたIRの問題点について、鋭く切り込んでいます。

果たして人間の幸せは、金なのか、生きがいなのか、健全な精神なのか? 本質的な部分を鋭く付く作品で、とても感動しました。

     遠藤雅信

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