2021年11月24日(水)
「スモールハウス」は、シンプルに自然と接しながら生きる、ニューライフを提案するガイドブックです。
作者は、東京大学の哲学科を卒業した、高村友也という若い(1982年生まれ)方です。
建物に関する知識も深く、宅地建物取引士の資格も持っているそうです。
2018年(平成30年)に、筑摩書房(ちくま文庫)から発刊されたのを買いました。
(それより以前に、同分館出版より単行本として刊行されているそうです。)
「3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方」と言う副題も付いています。
人間は広い家に住むと、つい無駄な物まで揃えたくなってしまいます。
作者は、あえて狭い家を選び、シンプルな暮らしをしようと提案しているのです。
そもそも、人間は何の為に働くのでしょう。
人それぞれの事情や、個人の資質等には異なるものがあると考えられます。
でも、大きくは、今よりももっといい暮らしがしたいと言うことと、今の生活を維持したいと言う2つに集約されるのではないでしょうか?
あえて、このようなことは考えず、精神的な自由を重視し、自然とのふれあいや仲間との会話の方に価値を見出すことができるとすれば、それは大きな意識の変化につながると思います。 (その場合、「自然とともに生きる」がコンセプトになります。)
確かに、物欲に縛られると本質が見えにくくなります。
著者が説くように、「シンプルに生きる」ことを最優先にする考え方がとても素敵なことは、私も個人的に認めます。
こうしたシンプル思考は、私が好きなキャンピングカー・ライフにも通じる所があります。
そう言う意味で、この本の内容には強い共感を持ちました。
しかし、本の中で著が述べているように、悩み(ジレンマ)も存在します。
それは、すべての人間がシンプル思考を強めると、消費が縮小してしまい、経済の発展も止まるという点です。
著者は、自ら、これに対する答えには窮すると言っています。
そう言う意味では、スモールハウスは1つの発想の転換というか、考え方であり、なかなか実践には移せないことになります。
本の中では、代表的なスモールハウスの写真等も紹介しながら、そこで暮らすことによって生まれる心の豊かさを強調しています。
実際に、シンプルな生き方をしている人のレポートも載っています。
夢物語的な部分もありますが、それはそれで、納得性のある生き方です。 この本を読み終わった後、一服の清涼感を覚えました。
遠藤雅信
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